肛門疾患の原因・症状・治療法
基幹病院での経験が長い専門医が診療しておりますので、頻度の低い肛門疾患にもしっかり対応しています。治療を受けているのになかなか改善しないなどがありましたらご相談ください。当院では基幹病院での診療経験が長い専門医が丁寧に検査・診断・治療を行っております。
- 肛門周囲皮膚炎・肛門掻痒症
- 直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)
- 肛門ポリープ
- 肛門がん
- 直腸脱
- 肛門尖圭コンジローム
- 膿皮症(化膿性汗腺炎)
- 毛巣洞
- フルニエ症候群・Paget病・Bowen病
肛門周囲皮膚炎・肛門掻痒症
肛門周囲の炎症により、ただれやかゆみが起こっています。
原因の多くは、トイレの際の拭き過ぎ、擦り過ぎ、シャワートイレの水圧が強いなどです。繰り返す下痢、便失禁、腸内分泌物によって肛門周囲が湿っている状態が続くなどでも起こります。また、カンジダという真菌感染や痔による皮膚のたるみによって起こることもあります。
治療では、難航や内服薬を用い、生活習慣の改善方法をアドバイスしています。真菌感染や痔などによって起こっている場合には、その治療も行っていきます。
直腸瘤(直腸膣壁弛緩症)
女性特有の病気です。直腸の前壁と膣の間には薄い筋肉がありますが、これが弛緩して直腸前壁が膣の方に突き出してうまく排便できなくなり、便秘や残便感などが起こります。
便意があるのにうまく排便できない、残便感がある、便秘、会陰が膨らむなどの症状があります。
治療では、排便習慣や生活習慣の見直しや薬物療法などの保存療法と、手術があります。手術が必要な場合には、経肛門的・経膣的・経会陰的の手術手法から適したものを選択します。経肛門的修復法は、直腸瘤の部分を吸収糸で縫縮するため、肛門の皮膚のたるみや内痔核の同時治療も可能になります。
肛門ポリープ
慢性裂肛や脱出を繰り返す内痔核などが原因で肛門内にできるポリープです。痛みなどはありませんが、脱出して気付くことがあります。原因となっている裂肛や内痔核の治療を行い、ポリープが大きい場合にはポリープ切除も検討します。
肛門がん
代表的な原因には、長期間放置した痔ろうがあります。痛みや出血、便が細くなるなどの症状が現れます。治療は手術、化学療法、放射線治療などです。
直腸脱
直腸が肛門外に飛び出しており、粘膜だけでなく筋層まで出ています。直腸を支えている組織や括約筋がゆるむことで起こるとされていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
排便時に飛び出てくるケースが多く、進行すると数10㎝も飛び出してしまう可能性があります。炎症や周辺の皮膚トラブルが起きやすく、下着の汚れなど日常生活に支障を生じるケースもありますので、早めに治療を受けてください。
直腸脱は手術による治療でしか治すことはできません。
緩んだ粘膜を糸で縛って縫い縮めるGant-三輪法・Thiersch法など手術手法が多数あるため、症状や状態に合わせて的確に選択する必要があります。肛門括約筋の弛緩が見られる場合には肛門を適度に縮めるなど、専門医による的確で丁寧な治療が不可欠です。
肛門尖圭コンジローム
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるもので、ほとんどの場合はSTD(性感染症)です。そのため、ご本人とパートナーの方の治療が不可欠です。
症状は肛門周囲のかゆみや違和感で、肛門周辺や外性器周辺に細かいザラザラした突起物ができることがあります。突起物がカリフラワーのようになることもあります。
薬物療法もありますが、確実に治すためには切除が必要です。
膿皮症(化膿性汗腺炎)
肛門周囲膿瘍に似ていますが、膿皮症は汗腺が炎症を起こしています。正しい診断のためにも肛門化受診が重要になってきます。肛門の周囲や臀部の皮膚に痛みや腫れ、化膿が起こります。再発しやすいため、しっかり治療を受けてください。
膿んでいる場合には切開して膿を排出させますが、再発しやすい場合には病変を摘出します。広範囲の膿皮症では、皮膚移植が必要になるケースもあります。
毛巣洞
皮膚の下に入り込んだ毛が炎症を起こしています。繰り返しやすく、毛深い方にリスクが高いとされています。尾骨周辺にできやすく、炎症による痛みや膿が主な症状ですが、小さな穴が開いてしまうケースも見られます。治療では、炎症を起こしている部分の摘出を行います。
フルニエ症候群
原因がまだわかっていない劇症型壊死性筋膜炎です。発症しやすいのは、皮膚や泌尿生殖器、直腸肛門で、まれにしかありませんが死亡率が高く、注意が必要です。男性が圧倒的に多く、基礎疾患(糖尿病や腎不全、アルコール中毒など)があるとリスクが高いとされています。
フルニエ症候群の症状
外陰部や肛門周囲に腫れや強い痛みが起こり、壊死を起こします。特徴には壊死した時の酸味のある臭いがありますが、すみやかな治療が重要ですので腫れや強い痛みが起こった時点で受診してください。治療では、膿を出し、壊死している部分があったらそれをきれいに取り除きます。
Paget病・Bowen病
Paget病はがんが合併する可能性があり、Bowen病は扁平上皮がんです。そのため、すみやかに受診し、適切な治療を受けることが重要です。
症状には、肛門のかゆみや赤み、湿った感じなどがあり、皮膚炎に間違われやすい病気です。まれにしか見られない病気ですが、肛門周囲の皮膚症状が皮膚科での治療を受けてもなかなかよくならない場合には、ご相談ください。
Paget病は悪性度が低く、湿疹のような見た目で赤身を帯びています。Bowen病は表皮内にできた扁平上皮がんであり、扁平な隆起で赤褐色です。どちらも手術による治療が必要です。