胃カメラで発見できる代表的な病気

胃内視鏡検査で発見できる代表的な病気

胃内視鏡検査で発見できる代表的な病気胃内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸と咽頭・喉頭・声帯の病気を早期発見可能です。

  • 早期胃がん
  • 進行胃がん
  • スキルス胃がん
  • 胃悪性リンパ腫
  • 胃腺腫
  • 胃潰瘍
  • 胃粘膜下腫瘍
  • 胃底腺ポリープ
  • 表層性胃炎
  • 萎縮性胃炎
  • 鳥肌胃炎
  • 胃静脈瘤
  • 胃憩室
  • 胃アニサキス症
  • 食道がん
  • 逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア
  • 食道・咽頭乳頭腫
  • 食道静脈瘤
  • 食道粘膜下腫瘍
  • 食道異物
  • 十二指腸がん
  • 十二指腸潰瘍

胃の病気

胃がん

胃がんについて衛生環境の改善や除菌治療によりピロリ菌感染者が減少しつつあるため、日本人のがんによる死因で胃がんが1位となっていたのは過去の話になりましたが、それでも年間約5万人の方が胃がんによって亡くなっており、胃がんはまだまだ注意が必要な病気です。そこで当院では、最新機器を導入して、専門医が楽に受けていただける精密な内視鏡検査を行って早期発見に努めています。

早期胃がん

早期胃がんは、がんが胃粘膜の表面近くにとどまっている状態です。症状がほとんどないため内視鏡検査でしか発見できませんが、早期胃がんの段階でしたら内視鏡による手術で完治も可能です。
また、内視鏡検査では将来の胃がんリスクを確認するために胃粘膜の萎縮などの状態を確認でき、ピロリ菌感染の有無を確かめることもできます。ピロリ菌に感染していない場合は胃がんになる可能性が少なく、感染している場合はリスクが高いため除菌治療や定期的な内視鏡検査が有効です。また、除菌治療は次世代へピロリ菌感染を防ぐためにも役立ちます。

進行胃がん

初期胃がんを放置していると進行胃がんになります。がんが胃壁の粘膜より深い筋膜などまで進行しており、リンパ節や多臓器への転移が起こる可能性が高い状態です。進行胃がんになると内視鏡での治療はできず、入院による外科手術や化学療法での治療となります。

スキルス胃がん

スキルス胃がん30~50歳の女性など若い世代に発症が多く、通常のがんよりも進行が早く、腹膜播種という腹膜への転移を起こしやすい胃がんです。若くして胃がんで亡くなったといったニュースの場合、ほとんどがこのスキルス性胃がんです。線維化が胃の粘膜下を進んでいって胃壁が硬くなり、表面には表れにくいため早期発見が難しいタイプの胃がんです。ピロリ菌感染があれば除菌をしておくことがリスク軽減に有効だとされています。

胃悪性リンパ腫

ピロリ菌感染があるケースが比較的多く、初期であればピロリ菌除菌の成功により腫瘍が退縮する可能性があるため、腫瘍の病理組織検査だけでなくピロリ菌検査も重要になってきます。悪性リンパ腫は、表層型、隆起型、潰瘍型、決壊型、巨大皺壁型とさまざまなタイプがあり、治療方針はピロリ菌除菌、外科手術、化学療法、放射線療法などがあります。
ピロリ菌除菌治療が有効なのは、進行が遅く、悪性度の低い胃悪性リンパ腫で、転移を起こしていない早期のものであり、その場合は90%以上の長期生存率と3%程度の再発率と報告されています。

胃腺腫

胃粘膜から発生した良性の腫瘍で、すぐにがん化する可能性は低いのですが、10年以上経過すると数10%の確率でがん化が起こるとされています。内視鏡検査で組織を採取し、病理検査で確定診断を行いますが、胃線種の場合には形状や大きさなど経過を観察するために定期的な内視鏡検査が不可欠です。

胃潰瘍

胃粘膜が傷付いて粘膜やその下の組織がなくなっている状態で、痛みや出血などの症状が起こります。胃潰瘍の原因は、主にピロリ菌感染と痛み止めの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)服用です。問題なのは、胃潰瘍がある場合、将来の胃がんリスクが増大することです。
ピロリ菌感染があれば除菌治療が有効です。非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)による胃潰瘍の場合には、こうした薬の服用を中止することが最善ですが、お身体の状態によってはそれが難しい場合もあります。その際には胃の状態を内視鏡検査で確認し、胃酸を抑える薬などで状態を改善していきます。

胃粘膜下腫瘍

発生するのが胃粘膜よりも深い層で、やがて粘膜から突き出すように成長していきます。まれに巨大化する場合があるため、経過観察が必要です。また、悪性の消化管間質腫瘍の場合には肝臓やリンパ節に転移する可能性があるため、外科手術や分子標的治療などを検討する必要があります。

胃底腺ポリープ

胃にできる良性のポリープです。ほとんどは生涯にわたって良性のままであり、自然に消滅することもありますが、確定診断には内視鏡検査によるピロリ菌感染検査と採取した組織の病理検査を行う必要があります。

表層性胃炎

洗浄の炎症が胃粘膜の表面にできている状態で、それほど心配はありません。発生しやすいのは胃酸過多、ストレス、暴飲暴食、胃酸分泌量が多い、ピロリ菌陰性とされています。食事や生活習慣の改善が有効です。

萎縮性胃炎

ピロリ菌感染によって慢性的な炎症が起こり、胃の粘膜が老化して委縮し、薄くなっています。萎縮性胃炎の炎症が持続すると胃がんリスクが高まることがわかっています。萎縮が進行すると腸上皮化生といって、胃粘膜が腸の粘膜に置き換わってしまい、ピロリ菌も住めなくなる環境になって、感染検査をしても陰性になる場合がありますが、こうした場合の陰性は胃がんリスクが最も高い状態だといえます。

鳥肌胃炎

羽をむしった鳥の肌のような炎症が、胃の出口付近にある前庭部に発生します。この細かいポツポツはリンパ濾胞です。胃がんリスクが高く、スキルス胃がんとの関連性が指摘されているため、特に注意が必要な状態です。除菌治療を受けた上で、定期的な内視鏡検査を受けてください。

胃静脈瘤

肝硬変によって肝臓に行くはずだった血液が行き場を失い、胃や食道に流れ込む場合があります。それによって胃の静脈に異常な膨らみができている状態です。破裂してしまうと命にかかわる可能性もありますので、早期発見し、破裂を予防する治療が不可欠です。

胃憩室

胃の内壁の一部が袋状になって外側に向かって飛び出しています。筋肉の層が薄い胃の入口と出口付近にできることが多くなっています。

胃アニサキス症

魚介類に寄生し、生食で感染する寄生虫です。日本では生の魚介類を口にすることが多いのですが、発症が報告されているのは年間に約3000件にとどまっています。適切な処置を行っていれば感染する可能性は低くなりますし、加熱や冷凍でアニサキスは死滅します。感染すると腹部が激しく痛みますが、内視鏡で除去することが可能であり、除去後は痛みがすぐに消えていきます。

食道や喉の病気

当院では、胃内視鏡検査の際に、喉や食道もしっかり検査しています。特殊光を用いた検査が有効な場所ですので、通常光と特殊光を使った観察も行っています。

食道がん

食道がん口と胃の間にある食道にできるがんです。胃や大腸には漿膜という一番外側の膜がありますが、これが食道にはないので早期から転移を起こしやすいとされています。初期症状がほとんどないため、内視鏡検査が有効です。進行して飲み込みにくいなどの症状が現れ始めた段階になると、難しい大手術が必要になります。

逆流性食道炎・食道裂孔ヘルニア

強い酸性の胃液が逆流すると、食道には胃酸から粘膜を保護する粘液がないため炎症を起こします。これが逆流性食道炎です。
食道裂肛ヘルニアは、胃酸の逆流を起こしやすくなる病気で、胸とおなかを隔てる筋肉が緩み、それによっておなかにあるべき胃が一部胸の方に飛び出している状態です。
胃酸やそれを含む胃の内容物が食道に逆流するとびらんや潰瘍症を起こして、長期的には食道がんリスクを増大させますので、早めに治療を受けることが重要です。
胸やけや咳、喉の痛みなど多彩な症状が起こることが多く、喘息だと思っていたら胃酸が逆流していたというケースもあります。食事や生活習慣の改善が症状の解消に重要であり、効果的なお薬もでてきています。食事の楽しみがなくなったり、眠れないなど睡眠障害につながりやすいため、早めにご相談ください。

食道・咽頭乳頭腫

食道や喉の奥にできる良性腫瘍であり、胃酸の逆流による慢性的な刺激によって起こっているケースが多いとされています。

食道静脈瘤

肝硬変によって肝臓に行くはずだった血液が行き場を失い、胃や食道に流れ込む場合があります。それによって食道の静脈に異常な膨らみができている状態です。胃や食道の静脈瘤は破裂してしまうと命にかかわる可能性もありますので、早期発見し、破裂を予防する治療が不可欠です。

食道粘膜下腫瘍

粘膜より深い層から発生し、ほとんどの場合は平滑筋腫や血管腫などの良性腫瘍です。ただし、腫瘍が大きい場合や急に大きくなるなどがあった場合、組織を採取して病理検査を行い、悪性リンパ腫やGISTなどの悪性腫瘍ではないかを確かめる必要があります。

食道異物

食道に異物が詰まっている状態です。魚の骨が刺さったり、シートごと薬を飲みこんでしまったなどがあります。食道を傷つけてしまう可能性があるため、無理にご自分で取ろうとせず、できるだけ早く内視鏡で除去できる消化器専門医を受信してください。

十二指腸の病気

十二指腸がん

胃がんや大腸がんに比べて頻度は低いがんですが、十二指腸は粘膜が薄く内視鏡などによる治療が難しい場所です。外科手術が必要になった場合には入院が必要な大手術になるケースも珍しくないため、定期的な内視鏡検査で初期の病変を見つけることが重要です。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍十二指腸の粘膜が傷付いて粘膜やその下の組織がなくなっている状態で、ピロリ菌感染によって発生するケースが多いため、除菌治療が有効です。胃潰瘍と比べて若い世代の発症が比較的多いため、おなかの慢性的な痛みがある方にはピロリ菌感染も確定診断できる内視鏡検査をおすすめしています。